ガクＭＣ　『Word Music』

これも大学生時代の話。
年の近い教会の友人がとある音楽店で働いていた。
彼女はしばしば余ったサンプルＣＤを大量に僕にくれた。
僕は、もらったその晩にワクワクしながら、
すごい勢いで全部聴いていった。
ジャンルも有名無名も雑多に含まれていた。

その中でおそらく一番の掘り出し物だったのがコレ。
ガクＭＣのワード・ミュージック。

ガクＭＣは、僕が確か中学生の頃に
「だよねー、だよねー」というフレーズが印象的な、
和製ラップの曲でヒットを飛ばした一団の一人。

そんな過去はもちろんＣＤを聞いた時は気づかなかった。
むしろ気づかなくてよかったかも知れない。

大げさかもしれないが、衝撃的な音楽だった。
僕はこれをガクＭＣが生み出した新しい音楽だと思う。
これに似たものがあったら教えてほしい（いや、ホント）。

基本的には日本語でラップというか、
ようは音とリズムに合わせてしゃべり歌うのだ。
もちろんそういった物は前からあった。
スチャダ○パー、トーキョーＮＯ．１ソウル○ット、
小中学生の頃は夢中になって聴いていた。

しかし、このＣＤが他と違うのは、
後ろに流れているのがジャズポップというか、
ジャズロックでしかも生楽器の音楽なのだ。
多分バックバンドだけでも普通に買いたくなる。
そこに、
「俺はやりたいように音楽をやるんだ」
とばかりにしゃべり歌がつくのだ。
歌詞も小難しい立派なことを狙ってなくて好感が持てる。

一つの新しい音楽ジャンルの誕生だと思う。
僕にとっては理想的な日本での音楽の形態の一つに
なり得ると思うのだけどダメなのだろうか。
残念ながら知名度は高くない。
これだけは本当に不可解で残念で仕方ない。
いや、これが誰かの真似なら本当に元を知りたい。

僕がもっと多くの人に認めてもらいたい音楽の一つ。

（ちなみに彼は他にも二枚アルバムを出している。
それは自分で買った。どれも悪くないが、
やはり一番聴いてほしいのは一枚目のこのワード・ミュージック）

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