ある友人はメールの中で時折こう言う。
「しっかり拝めよ」
励ましているのかギャグなのか、多分両方だろう。
「おがむ」という言葉に軽いギャップを感じて、
僕は毎回クスッとする。
年輩の方はどうか分からないが、20台前半の僕としては、
「拝む」と言うと、手をこすり合わせて念じつつ、
何かを「お願いする」場面を思い浮かべてしまう。
(注 特定の宗教を批判する気も意図も全くありません)
願いは極楽浄土へ行くことや、商売繁盛だったり、何かの成功だったりするだろう。
とにかく、あんまり(プロテスタントの)クリスチャンの間では使われていない言葉だ。
でも、昨日聖書読んでてびっくりした。
「すると、イエスが彼女たちに出会って、『おはよう。』と言われた。
彼女たちは近寄って御足を抱いてイエスを拝んだ。」マタイ28:9(新改訳)
「拝んだ」って書いてある〜。
この聖書の箇所は結構感動的なシーンを描いている。
文の中の彼女たちというのは
「マグダラのマリア」と「ほかのマリア」の二人のマリアだ。
少しまとめて話そう。
三日前にイエスが十字架で死んだ。
何もしてはいけない日である安息日を挟んで今日、二人のマリアは家から墓を見に向かった。
でも、墓には石で封印がある。しかも番兵も見張っている。遠巻きに見るしかないはずだった。
すると、大きな地震がおきた。それは、主の使いが天から降りて来て、
石をわきへころがして、その上にすわったからだ。
番兵たちは恐ろしさのあまり、死人のようになった。…
主の使いは二人のマリアに「イエスが復活したこと」を告げ、
弟子たちにと、「ガリラヤ(地名)で会おう」というイエスの伝言たくした。
二人のマリアは恐ろしくはあったが、大喜びで急いで墓を離れ、
弟子たちに知らせに走っていった。すると…
そこで今回の聖書箇所がやってくる。
憎い演出だ。
じゃあ最初から使いじゃなくて本人が来ればいいじゃん、と思うところだ。
(他にもっと意味があるかもしれないけど)
しかも「おはよう」だ。
くぅ〜、何て台詞回しだ。
想像してみよう、劇的な話だ。
三日前に自分を救ったイエスが死んでしまった。
少なくとも明るい気持ちで墓に来たわけじゃない。
それが、突然喜びの知らせに変わった。大喜びだ。
駆け出したら、なんと本人があらわれた。嘘じゃなかった。
しかも「おはよう」だ。
そら、近寄って足も抱くだろう。(思い切りやるとタックルだから倒れるけど)
そして拝んだ。足を抱いて拝んだというから、こういう感じだろう(下図)。
⇒
こういう感じではないだろうし(フレンドリーに握手する感じ)。
絶対こういうかんじではないだろう(喜びダンス)。
そう、まさにひざまずき、あるいはひれ伏し拝むのである。
じゃ何で拝んだの?
何かを願って拝んだわけじゃなかった。
二人のマリアは、「恐ろしく」はありつつ「大喜びで」駆け出して、
「嘘じゃない事実」を確認して、当然のように「拝んだ」のだ。
復活には意味がある。「神」であることと、「もはや死には縛られない」ことだ。
二人のマリアは、イエスが神であり死を打ち破ってきたことを事実として認識し、
拝んだのだ。
神が目の前に現れた時、あなたならどうするだろう?
「あの〜、天国行きたいんですけど…」とお願いするだろうか?
「あの〜、金が欲しいんですけど…」とお願いするだろうか?
まあする人もいるだろう。神様は素直な子供のような人が大好きだ。
でも落ち着いてよく見てくれ。神だ。彼は全てを与える神だ。
それに気づいたとき、人はあの墓の番兵のように死人のようになるだろう。
そして、彼を待ち望んでいた人々は、恐れつつも大喜びでひれ伏し拝むだろう。
同じマタイ28章の17節にはこう書いてある。
「そして、イエスにお会いしたとき、彼らは礼拝した。」マタイ28:17a
この「礼拝した」は原語(ギリシア語)では、二人のマリアの「拝んだ」と同じ言葉だ。
ここで語られる礼拝とは、「神に出会い、恐れつつ、
しかし全てを与えられる(た)ことを確認し大喜びで、
ひれ伏し拝むことなのだ。」
(もしあなたがクリスチャンなら)
あなたは、神を礼拝する時、恐れつつ歩み出ていますか?
願うより先に、全てを与えられたことを確認し喜んでいますか?
あなたの心は、神の前に低くなっていますか?
そう、僕は「しっかり拝む」ことを忘れてはいけない。
おわり
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